崖っぷち





「街頭を解禁しました」


自民党改憲派の理論的支柱66歳の憲法学者小林節氏が冷たい雨の降りしきる国会前でつぶやいた。



「妻に了承を得てから来たんですよ」



憲法審査委員会で4日、安全保障関連法案に「違憲」を表明。

翌日の夜、法案への抗議に集まった学生たちの前に突如現れマイクを握り、「憲法を無視する癖がつくと、民主国家ではなく、独裁国家になってしまう!」と声を上げた。




小林氏にとって前回の「街頭」は慶大生だった1960年末の学園紛争の時。



一度だけデモに行ってみたが「みんなで肩を組む運動」になじめず、その後はひとり図書館にこもって勉強に没頭した。



その彼の足を50年ぶりに「2度目の街頭」に向かわせたものは何だったのか。



(6月10日朝日新聞)