POEZIO






good time

見染めつる契り




















「ようこそ」




この曲で迎えるよ






クレイジーな世界を
自由にとびまわる特権が


きみにはある













「幸い」


うちの花 

そとの花 


うちに光

そとも光




崩れかけた家
















「縁」



いっしょ

いつも
いっしょ





長い長い忘却の果て




風が笑ったよ
花がくしゃみした


だれか
足をとめて
わたしたちを見てる












「声」



苺は食われ



ヘタは残り



清心な合図で




さようなら

















「流転」


満ち欠けて

月のすきまに

咲いている












「青の彼方」



ずいぶん遠くに来たもんだ




波がしらの砕け散る刹那


あの子は笑っていたのだな











「線路」



及川くんは
列車に乗った

検札にきた車掌が
聞いた



どこまでいきますか





彼の手は

だれかとだれかの

思い残し切符を

握りしめている










「春」


底で

一脈相和










「新聞より」



デモをしてなにか変わりますか



変わります

デモをする世の中になります










「ジョバンニ」



「僕に朝らしい朝が来た

月、その月の月、次々と月

新しい朝、朝らしい朝を僕は選択する」


自分のなかの誰かに書き残し

少年は成年になった




たぶん今頃


錆びた月を磨いて

どの空にかけようかと

思案している                             













「カンパネルラ」


Tunamiで死んだ子は


樹のうえでお月さまに両手をふっている


夜のさざなみに明日の歌をうたっている




もっとはしゃいでいいんだよ


悲劇の試算はこちら

あちらは希望の目次録









「やさしいきもち」


めくれていた人形の

裾をなおした

母の裾も

なおした






月の差し込む夜は

光は闇の

闇は光の裾にふれ



失念を詫びた














「ともかく」

赤いプラスチックの洗濯かごは

25年前の引っ越しで
買い換えられるはずだったが



いまだここで


外風呂と洗濯機の15メートルを

まいにち行ったり来たり
している





プラスチック製品は
もう買わない

これもあれも捨てていくぞと息巻いて


25年がすぎ





細かな亀裂に
花舞い雨染み雪降り

風が撫でた





つぎの引っ越しも



赤いちゃんちゃんこ着た婆さんの手をひくように




おまえを連れていこう

















「つまり」



ぱあちゃんは猫



ひとにしがみついて

夜は寝る





ぱあちゃんがうっかり

逃亡




おいでおいでも

やなこった



すたこら逃げて

二日

へんなものを食ったりで




三日たって

捕まって

ひとの腕に顎のせた





愛も自由も

好きなのだ