「ようこそ」
この曲で迎えるよ
クレイジーな世界を
自由にとびまわる特権が
きみにはある
「幸い」
うちの花
そとの花
うちに光
そとも光
崩れかけた家
「縁」
いっしょ
いつも
いっしょ
長い長い忘却の果て
風が笑ったよ
花がくしゃみした
だれか
足をとめて
わたしたちを見てる
「青の彼方」
ずいぶん遠くに来たもんだ
波がしらの砕け散る刹那
あの子は笑っていたのだな
「新聞より」
デモをしてなにか変わりますか
変わります
デモをする世の中になります
「ジョバンニ」
「僕に朝らしい朝が来た
月、その月の月、次々と月
新しい朝、朝らしい朝を僕は選択する」
自分のなかの誰かに書き残し
少年は成年になった
たぶん今頃
錆びた月を磨いて
どの空にかけようかと
思案している
「ともかく」
赤いプラスチックの洗濯かごは
25年前の引っ越しで
買い換えられるはずだったが
いまだここで
外風呂と洗濯機の15メートルを
まいにち行ったり来たり
している
プラスチック製品は
もう買わない
これもあれも捨てていくぞと息巻いて
25年がすぎ
細かな亀裂に
花舞い雨染み雪降り
風が撫でた
つぎの引っ越しも
赤いちゃんちゃんこ着た婆さんの手をひくように
おまえを連れていこう
「つまり」
ぱあちゃんは猫
ひとにしがみついて
夜は寝る
ぱあちゃんがうっかり
逃亡
おいでおいでも
やなこった
すたこら逃げて
二日
へんなものを食ったりで
三日たって
捕まって
ひとの腕に顎のせた
愛も自由も
好きなのだ