都知事選のウグイスで野坂昭如さんと乗り合わせたことがある




渋谷の街に黒い車が集結し軍歌流れる騒然としたなか脅迫状も届いていた


万一のときには穏健な学者である候補者の
われわれは盾になろう


それぞれに緊張が走り出番待ちの野坂さんも寡黙だった



ではお願いします

声をかけると


背広のポケットから携帯用のウイスキーを取りだしおもむろに二口ほど飲んだ


こういうときにはやはり飲まれるのですか



こういうときでも、ね。



サングラスの目がやんちゃに笑い


それから毅然と立ちあがった