やむにやまれず・・・・

 アパートの廊下、天井から蜘蛛の巣にかかり絶命した蛙が一匹ぶら下がって、もう数日経つ。

 

 まるでモズのハヤニエのように、主の蜘蛛は食べずにいる。

 

 果ててなおも、その自慢の脚は思いのほか長く、蛙であることを主張し続けるその姿、通るたびに目を止める。

 

 小川琢磨